2007年3月15日

幸せをもたらす「鬼」と五穀豊穣を祈る

幸せをもたらす「鬼」と五穀豊穣を祈る
今回は、国東半島に伝わる伝統行事をリポートしましょう。

国東半島には古くから「六郷満山(ろくごうまんざん)」といわれる独自の仏教が花開いていました。国東半島が「仏の里」と言われる所以です。その六郷満山文化の伝統行事のひとつとして、1200年以上も続いている豪快な火祭りが「修正鬼会(しゅじょうおにえ)」です。五穀豊穣、無病息災を祈る祭りで、たくさんの地元農家の皆さんも足を運ぶというこの行事をのぞいてきました。

天念寺。近くを流れる長岩屋川には川中 不動尊という磨崖仏が彫られています。
かつては国東半島にある100以上ものお寺で行われていた修正鬼会も、いまは3つのお寺でしか行われていません。今回訪れたのは真玉工場から車で20分ほどの天念寺。毎年旧正月の7日に開催される修正鬼会ですが、今年は2月24日の土曜日にあたり、祭りの見せ場となる8時前には、いつにも増して観光客がたくさん! そこでは天念寺前を流れる長岩屋川で身を清めた若者たちが4メートルほどの松明(たいまつ)に火をつけ、メイン会場となる講堂の前でその松明を倒し、地面に叩き付けています。バシッバシッと火の粉が散り、ちょっと身の危険を感じたりして(笑)。ある農家の方から「あんた、よそいきの服を着て行ったらダメで。火の粉で破れてもいい服にしちょきよ」と聞いていましたが、なるほど。

メイン会場となる講堂。普段は狭いです が、ここで鬼が大暴れするのです。
その後、講堂内でお坊さんが読経をあげると、なんとそのリズムに合わせて、まわりにいた他のお坊さんたちが棒を持って踊り始めたのです。踊るお坊さん。なんだか聞いただけで楽しくなってきますね。お坊さんの下駄の音がタップダンスのようにも聞こえてきました。

そして時計も夜の10時に差しかかったころ、いよいよ鬼の登場です! 普通、鬼といえば「赤鬼・青鬼」ですが、修正鬼会は「赤鬼・黒鬼」。パッと見たら、ウルトラマンに出てく宇宙怪獣のようにも見えます。しかも六郷満山の鬼は「悪」の化身ではなく、「御祖先様」であり「善」「幸福」の化身。でもその鬼たちが、狭い講堂の中で松明を持って大暴れするのだからさあ大変。火の粉が飛び散り、煙が立ち込めます。

迫力満点の修正鬼会。堂内いっぱいに 火の粉と煙がたちこめます。
さらにすごいのはそれから。鬼が大きなお餅を2つまくのですが、これを見物客が奪い、「拾ったぞー」と大きな声。実はこの2つのお餅は「鬼の目玉」だそう。鬼は目玉を取り戻そうと、その見物客を追いかけて赤々と火のついた松明で「バシッバシッ」と背中やお尻を叩きます。逃げながら見物客は、お餅をちぎって、どんどん他の見物客にバラまき、最後に鬼は追いかけられなくなってしまうというもの。ご利益のあるお餅だそうですが、ウソでしょうというくらいの大迫力。途中、お餅をひとりじめしようなんて思ったら、とんでもないことになってしまいますね(笑)。

鬼とともに、実り多き一年のはじまりを願う国東半島の人たち。青汁の中には、元気な鬼たちのエキスも混じっているかもしれませんよ。


青汁の原料であるケールや大麦若葉のふるさと、大分県国東半島の恵まれた自然を、現地からレポートします。

プロフィール:姫野裕一/Yuichi Himeno
大分県生まれ。地元タウン誌『CONKA』編集長として大分県内を駆け回る。由布院が舞台のNHK連ドラ『風のハルカ』で紹介されていた郷土料理の集大成本『ハルカの食卓』の編集に携わり、大分の大地が生んだ「食」のフトコロの深さにあらためてノックアウトされたばかり。大分トリニータのオフィシャルマガジン『Winning Goal』編集長も兼務している。
「conka.com」http://www.conka.com/

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