2007年7月20日

「よく育ったケールを見ると、これまでの苦労も吹っ飛ぶわい」

「よく育ったケールを見ると、これまでの苦労も吹っ飛ぶわい」 「とうちゃん、今年の葉は、ちと小せぇんじゃねえか?」
「雨が少なかったけんじゃろうなあ。でも、小ぶりじゃが、なかなか出来はいいで。折りとるときの音が、証明しちょるわ」
 早くも最終段階となったケール収穫。パキッ、パキッと、引き締まったケールの葉を折る音とともに、工藤武義さん、美津子さんご夫婦の声が聞こえてきます。真玉でケール栽培に精を出すおふたりは、この瞬間がたまらなく楽しみなのだそうです。
「やっぱり収穫時期はええのう。今までの苦労が報われるわ(笑)」
ケールの大敵、毎日の害虫退治の苦労も、収穫の喜びの前では消え失せてしまいます。汗をかきながらも、ふたりの会話の合間に笑顔がほころびます。

国東半島の太陽を浴びて、元気いっぱいに育ったケールたち。
「農作物っち言うんは天候に左右されるやろ。今年のケールは、雨が少なかったけん昨年に比べて小さくなるやろうなと思うて、害虫に食われんよう、例年以上に質にこだわったんじゃ。見てみぃ、穴の空いた葉とか見当たらんやろ」
誇らしげに話す工藤さん。確かに工藤さんの畑は手の行き届いた、立派なケールが並んでいます。最初の土づくりさえ、しっかりできていれば、あとは害虫の管理さえすればいいとは言うものの、前回もお話したようにその作業は一番の重労働。今年は少雨だったこともあり、葉が少し小さくなりそうだったので、工藤さん夫婦は1日1回だった虫取りを、夜が明ける前と夕方の2回に分け、それ以外も何度も畑に足を運び、害虫退治に力を入れたのです。毎日の努力の賜物で、結果的に今年も立派なケールを納品できるようになりました。

ケールの葉を折る「パキッ」「パキッ」という気持ちいい音が聞こえてきそうです。
「キリン ヤクルト ネクストステージさんの納品基準は厳しいけん、絶対に手は抜けんよ。毎回、工場に運ぶまで、合格するじゃろか~とドキドキする。まああれだけ苦労したけん、自信はあるけどな(笑)」
 キリン ヤクルトネクストステージの真玉工場では、不適品の基準を明確にして農家へ限度見本を配布しています。その基準をオーバーすると廃棄されますが、基準ぎりぎりで納品された場合も、容赦なくイエローカード(警告)が出されます。しかも、イエローカード累積3枚目で廃棄、4枚目では契約停止になってましうという厳しいルールを徹底しています。工藤さんご夫婦をはじめ、契約農家の皆さんが緊張するのも無理はありません。
「人間の口に入るものじゃけん、こんくらいは当たり前のこと。こりゃキリン ヤクルト ネクストステージさんからの要望であると同時に、ワシら農家も一致した考え。これは、みんな誇りをもってケール栽培をしよる証しでもあるんじゃ」
 質の高いケールができれば評価され、不適品があれば厳しく指導する。お互いが納得しあったこの取り決めが、品質の高い商品を送りだす真玉工場のアイデンティティでもあるのです。

おふたり並んで、はいポーズ。「どうじゃ。この角度でいいじゃろか」。
 今年も満点の評価を得たおふたりに、仲よく並んで記念写真をお願いしました。
「写真のときぐらい、パリッといい顔しようえ、とうちゃん(笑)」
「ケールにならって、ワシらもよう撮ってもらわんとな、母ちゃん(笑)」
 夫婦漫才のように二人で声を掛け合いながら撮影ポーズ。その表情からは、今年のケールの自信のほどがあふれています。


青汁の原料であるケールや大麦若葉のふるさと、大分県国東半島の恵まれた自然を、現地からレポートします。

プロフィール:姫野裕一/Yuichi Himeno
大分県生まれ。地元タウン誌『CONKA』編集長として大分県内を駆け回る。由布院が舞台のNHK連ドラ『風のハルカ』で紹介されていた郷土料理の集大成本『ハルカの食卓』の編集に携わり、大分の大地が生んだ「食」のフトコロの深さにあらためてノックアウトされたばかり。大分トリニータのオフィシャルマガジン『Winning Goal』編集長も兼務している。
「conka.com」http://www.conka.com/

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