2007年9月 3日
生産者とのキャッチボールがキモ。新しいそば処・豊後高田

先日のケール取材の日、以前ご紹介した温泉施設・スパランド真玉で、ある催しものが行われていました。その名も「豊後高田産手打ちそば認定式」。当日は新そばの試食もあると聞き付け、ちゃっかり訪れてみたのですが(笑)、平日にもかかわらずたくさんのお客さん。認定式では豊後高田市真玉で民宿経営もされている「そば処 庵」店主の高嶋孝幸さん(33歳)が、認定店5店舗を代表して認定証交付を受けていました。スパランド真玉では「そば打ち道場」も開講しており、夏休みは子どもたちのそば打ち体験で賑わったといいます。
え? 試食のそばですか? もちろんいただきましたよ、ツルンと美味しく(笑)。そばの実本来の淡い緑色に仕上がった麺は、味も香りもしっかりしていて、歯ごたえもちょうどいい。早くもファンになってしまいました。
実はここ数年、豊後高田の農家では、ケールや大麦若葉とは別に、そば栽培が話題。もともと、この地区の名産品といえば水はけのいい土地でできた締まった甘さが特徴のスイカだったのですが、最近は高齢化が進み、重くて大きいスイカづくりは体力的に厳しいという農家が増えてきているそうです。そこで注目を集めた産物が、そばや白ねぎ。「昭和の町」ブームの火付け役でもある豊後高田、まちづくりと農業を結び付ける動きとも重なり、そばづくりが活況を呈しはじめたのです。
豊後高田そば生産組合の近藤久文理事長(50歳)を訪ねてみました。
「最初は遊び感覚でそばづくりを始めてみたんやけど、これにハマッてしもうてな(笑)。そのうち仲間が増えてきて、組合を作るまでになったんや。今では春そば、秋そば合わせて作付面積は100ヘクタールち、大分では一番のそばどころ。博多のラーメン、長崎のチャンポン、讃岐のうどんに負けんよう、豊後高田そばで麺文化を作っちゃろうち勢いよ(笑)」
そば自慢をイキイキと語る近藤さん。無農薬栽培を基本とし、安定的な生産が行えるよう排水対策の徹底から収穫後の製粉体制まで、余念を許しません。「地産地消」を目指し、市内に手打ちそば屋の開店を後押しするようになったのは当然の流れ。そば焼酎、そば枕づくりの話も沸き起こっています。ちなみに温暖な気候のおかげで6月中旬には収穫を迎える春そばは、『日本で一番早い春ソバ』だとか。
生産組合までそばを買い付けに来ていた石丸誠さん(55歳)のお店「そば処 響」へも足を運んでみました。市内でそば職人第一号となった石丸さんは、もと商社マン。地元・豊後高田のそば生産の話を聞き、湯布院で修業を積んだ後、開店に至ったそうです。
「ウチは『十割そば』といって、つなぎ(小麦粉)を使わんでそば粉100%の手打ちそば。そばの実は石臼でひいて、ほんのりした緑色が出るよう手をかけ、水加減にも気を使う。豊後高田本来のそばの味を引き出すよう、こっちも真剣勝負や。せっかく生産者が苦労して出来上がったそばやけんな(笑)」
汗を拭きながらそば打ちに精を出す石丸さん。
生産者から消費者へ、よいものを提供しようとする人たちの深い「絆」に、ついキリン ヤクルトネクストステージの青汁づくりを思い浮かべてしまいました。
青汁の原料であるケールや大麦若葉のふるさと、大分県国東半島の恵まれた自然を、現地からレポートします。
プロフィール:姫野裕一/Yuichi Himeno
大分県生まれ。地元タウン誌『CONKA』編集長として大分県内を駆け回る。由布院が舞台のNHK連ドラ『風のハルカ』で紹介されていた郷土料理の集大成本『ハルカの食卓』の編集に携わり、大分の大地が生んだ「食」のフトコロの深さにあらためてノックアウトされたばかり。大分トリニータのオフィシャルマガジン『Winning Goal』編集長も兼務している。
「conka.com」http://www.conka.com/
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