2007年11月16日
豊後高田の郷土料理

食べ物が美味しい季節となりました。国東半島の稲刈りも既に終盤戦に差し掛かろうとしています。今回は、「実りの秋」「食欲の秋」にちなんで、豊後高田の郷土料理についてお話しましょう。
豊後高田周辺の土地は、ふたつの顔を持っています。ひとつは海岸線近くに広がる干拓地帯。もうひとつは大分県では随一といわれる宇佐平野から続く田園地帯。
毎回ご紹介しているケールや大麦などが栽培されているのは干拓地帯。このエリアは江戸時代から海を埋め立てて造成された砂地土壌の干拓地。温暖な気候と水ハケのよさから、早くから本格的な栽培が始まったのが白ネギです。ミネラルたっぷりの海水を含んだ干拓の甘いネギは市場での評価も高く、現在では西日本2位、九州では1位の生産量となっています。

一方、田園地帯では肥沃な土壌のおかげて毎年、美味しいお米が実ります。そのなかで、独自の景観を見せているのが田染荘(たしぶのしょう)です。ここは平野とは違い、奇岩に囲まれた谷間にふぞろいの棚田とあぜみちが連なり、日本のふるさとの原風景を醸し出しているようです。実はこの地帯、全国八幡宮の総本山である宇佐八幡が経営した荘園。千年も続く荘園としての景観は、国内でもこのエリアしか残っておらず、大分県では宇佐八幡とこれらを含め「宇佐・国東八幡文化遺産」として、世界遺産指定登録に名乗りをあげているほどです。
さて、その田染荘の蕗(ふき)地区では、頼もしいお手伝いさんと共に米づくりをしています。そのお手伝いさんとは、合鴨。いわゆる「合鴨農法」の先進地として知られているこの地区は、毎年、春になると田植えの終わった水田に合鴨の雛がヒョコヒョコと放たれ、雑草や害虫を退治し、無農薬の安心安全なお米づくりに貢献しています。
一方でこの合鴨、食用としても高く評価され、「ぶんご合鴨」というブランドで売り出されています。マガモに二種類のアヒルを交配したオリジナル品種は、カモ特有のコクとうまみを保ちながらも軟らかい肉質が美味しいと評判なのです。
と、ここで浮かんでくるのが、あのことわざ、「鴨がネギを背負ってくる」。そう、西日本一の白ネギと働き者の合鴨をドッキングさせ、豊後高田を代表する郷土料理の出来上がりというわけです。
たとえば鴨汁。合鴨肉と鶏肉にゴボウ、さといも、ニンジン、コンニャクを煮込み、これに白ネギを加えれば、素朴ながら旨味たっぷりの鴨汁のできあがり。さらに前回お話したソバを使った「鴨なんばんソバ」、さらには「鴨ねぎみそ」といった加工品も産まれ、それぞれ人気を呼んでいます。
これからいよいよ鍋の季節。ぶんご合鴨と白ネギを使って、あったか鍋で一杯、やりましょうか。
青汁の原料であるケールや大麦若葉のふるさと、大分県国東半島の恵まれた自然を、現地からレポートします。
プロフィール:姫野裕一/Yuichi Himeno
大分県生まれ。地元タウン誌『CONKA』編集長として大分県内を駆け回る。由布院が舞台のNHK連ドラ『風のハルカ』で紹介されていた郷土料理の集大成本『ハルカの食卓』の編集に携わり、大分の大地が生んだ「食」のフトコロの深さにあらためてノックアウトされたばかり。大分トリニータのオフィシャルマガジン『Winning Goal』編集長も兼務している。
「conka.com」http://www.conka.com/
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